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【医師解説】手足口病・ヘルパンギーナ — 症状の違いと受診の目安

手足口病とヘルパンギーナはどちらも、毎年6月ごろから患者数が増加し、6〜7月にピークを迎える夏の感染症です。どちらもエンテロウイルス属のウイルスが原因で、乳幼児を中心に保育園・幼稚園で集団感染が起こりやすい時期です。8月後半から9月にかけて急速に減少し、冬はほとんど見られなくなります。

発熱と口の中の水疱・潰瘍が共通しますが、発疹の出る場所や熱の高さ、経過などに違いがあります。「うちの子は手足口病かヘルパンギーナか?」と迷う場合はページ内の比較表をご参照ください。

2026年の流行状況

例年どおり6月から患者報告数が増加しています。保育園・幼稚園でのお子さまの発熱・口の中の痛みが気になる場合はお早めにご相談ください。流行のピークは例年6〜7月で、お盆明けごろから落ち着く傾向があります。

✅ 当院では小児科診療も行っており、予約不要でご受診いただけます(予約優先制)。
✅ 症状に迷う場合や、受診すべきか判断できない場合は電話・LINEでご相談ください。

手足口病とヘルパンギーナ — 症状・経過の比較

手足口病とヘルパンギーナの症状の違い:手足口病は手のひら・足の裏・口の中に発しんや水ほうができ38℃前後の発熱、ヘルパンギーナはのどの奥に発しんや水ほうができ39℃前後の高熱が特徴
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手足口病とヘルパンギーナの症状の違い(拡大)
手足口病 ️ ヘルパンギーナ
主な原因ウイルス コクサッキーA16・A6
エンテロウイルス71(EV71)
コクサッキーA群(2・4・6・8型など)
流行時期 6月〜8月
6〜7月にピーク。8月後半から減少。
6月〜8月
6月に最初のピーク。手足口病より早めに始まることも。
主な年齢 乳幼児〜5歳(大人にも感染あり) 乳幼児〜5歳(大人にも感染あり)
発熱 37〜38°C台が多い(低め) 38〜40°C台の高熱が多い
口の中の症状 舌・頬の内側・のどに水疱・潰瘍 のどの奥(軟口蓋・口蓋弓)のみに水疱・潰瘍
手足の発疹 手のひら・足の裏・指に水疱状の発疹
お尻・膝に出ることも
なし(手足には出ない)
経過 7〜10日程度で回復 3〜7日程度で回復(やや短い)
特有の合併症 爪の変化(爪甲脱落)
EV71では脳炎・髄膜炎(まれ)
高熱による熱性けいれん
迷ったときの目安:手と足にも発疹が出ていれば手足口病、のどだけで手足には何もなければヘルパンギーナの可能性が高いです。ただし、初期は区別しにくいことがあります。

手足口病について

症状と経過

感染から3〜6日の潜伏期間ののち、発熱(軽度のことが多い)と口の中の水疱・潰瘍が現れます。1〜2日後に手のひら・足の裏・指に水疱状の発疹が出るのが特徴です。お尻や膝に出ることもあります。

口の中の潰瘍は痛みを伴うため、食事・水分をとりにくくなることがあります。発疹は通常かゆみはなく、7〜10日程度で自然に回復します。

原因ウイルスによる違い

コクサッキーA16型(最多):比較的軽症。発疹・水疱が小さくまとまることが多い。

コクサッキーA6型:発疹が広範囲・大型になりやすく、水疱が破れて広がることがある。回復後1〜2か月で爪が変形・脱落する(爪甲脱落)ことがある(一時的で自然回復する)。

エンテロウイルス71型(EV71):まれにウイルス性髄膜炎・脳炎などの重症合併症を引き起こすことがある。強い頭痛・嘔吐・ぐったりには注意が必要。

感染経路

  • 接触感染:水疱の液・唾液・便(便中には数週間ウイルスが残ることがある)
  • 飛沫感染:咳・くしゃみ

おむつをしている乳幼児については、おむつ交換後の手洗いが重要です。


️ ヘルパンギーナについて

症状と経過

感染から2〜4日の潜伏期間ののち、突然の高熱(38〜40°C)で発症します。のどの奥(軟口蓋・口蓋弓)に小さな水疱が現れ、破れて潰瘍になります。のどの痛みが強く、食事・水分が取りにくくなることが特徴です。

手足や体幹には発疹は出ません。高熱は1〜3日で下がり、3〜7日程度で回復することが多いです。

注意すべき点

熱性けいれんに注意:ヘルパンギーナは高熱が急激に上がることが多く、乳幼児では熱性けいれんを起こすことがあります。けいれんが5分以上続く場合は救急へご連絡ください。

感染経路

  • 飛沫感染接触感染糞口感染(手足口病と同様)

同じエンテロウイルス属ですが、型が異なるため、手足口病にかかったことがあっても、ヘルパンギーナには別途感染することがあります。


受診の目安

どちらの感染症も特効薬はなく、多くは自然回復します。ただし、以下の症状があるときは早めにご受診ください。

⚠️ 急いで受診・救急を検討すべき症状

  • けいれんが起きた・止まらない(5分以上)
  • ぐったりして反応が鈍い
  • 首が硬い・強い頭痛・嘔吐が繰り返される(髄膜炎の疑い)
  • 呼吸が速い・苦しそう
  • 意識がおかしい・呼びかけに応じない

受診をお勧めする状況

  • 水分・食事がほとんど取れない(脱水が心配)
  • 3日以上高熱が続く
  • 症状が悪化している・改善しない
  • 診断が不明確(手足口病かヘルパンギーナか判断しにくい)
  • 保護者・家族の不安が強い

*当院は小児科診療を行っています。ご不安な場合はお気軽にご来院またはLINE・電話でご相談ください。


治療と自宅での過ごし方

手足口病・ヘルパンギーナともにウイルスに対する特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心です。

発熱への対応

  • つらそうであればアセトアミノフェン(カロナール等)で解熱を。
  • イブプロフェン(ブルフェン等)も使用可能ですが、まず医師にご相談ください。
  • 38°C以上でも元気があれば、解熱剤は必ずしも必要ありません。

食事・水分補給(最重要)

  • 口の中の痛みで食欲が落ちやすいため、水分補給を優先します。
  • 冷たくて刺激の少ないもの(アイスクリーム・ゼリー・冷たい麦茶・スポーツ飲料)が食べやすいことが多いです。
  • 酸っぱいもの(オレンジジュース等)・辛いもの・しょっぱいもの・炭酸は口の中を刺激するため避けてください。
  • 尿量が減る・口が乾く・ぐったりするなど脱水のサインに注意してください。

入浴・生活

  • 熱がなく元気であれば入浴可能です。シャワーでも構いません。
  • 手洗い・タオルの共用を避けることで家庭内感染を防ぎます。
  • おむつ交換の前後は必ず手を洗ってください。

登園・登校の目安

手足口病・ヘルパンギーナはいずれも学校保健安全法の「第3種感染症」に分類されており、法律上の出席停止期間の定めはありません。

法律上 出席停止の規定なし(第3種感染症)

登園可の目安
  • 熱が下がっている
  • 食事・水分が普段どおりに取れる
  • 本人が元気で、集団生活に支障がない

登園を控える目安
  • 発熱がある
  • 口の痛みで食事・水分が十分取れない
  • 水疱が破れて広範囲ににじみ出ている
⚠️ 保育園・幼稚園の独自ルールを必ず確認
法律上の規定はありませんが、多くの施設では独自の登園基準を設けています。施設に事前確認のうえ、必要であれば受診した旨の説明書をご準備ください。当院でも必要に応じて書類を作成します。

*回復後も便中にウイルスが数週間排泄されることがあります。症状消失後もトイレ後・おむつ交換後の手洗いを徹底してください。


大人(保護者・家族)の感染について

手足口病・ヘルパンギーナは乳幼児に多い疾患ですが、大人にも感染します。大人が感染した場合、子供より症状が強く出ることがあり、特に以下に注意が必要です。

  • 強い口内炎・のどの痛み:食事・飲水が困難になることがあります。
  • 手足の強い痛み・水疱:手足口病では痛みが強く、日常業務に支障が出ることもあります。
  • 発熱・倦怠感:子供よりつらく感じることがあります。

免疫がある程度あるため、感染しても無症状のことも多いですが、感染源になりうるため手洗いを徹底してください。子供の看護をする際は、使い捨て手袋の使用をお勧めする場合があります。


ご不安な症状・受診の相談はお気軽にどうぞ

予約優先制・予約なしでも受診いただけます


よくある質問

手足口病とヘルパンギーナの見分け方を教えてください

手足や体に発疹・水疱が出ているかどうかが最大のポイントです。

  • 手のひら・足の裏・指に水疱がある → 手足口病の可能性が高い
  • 口・のどの痛みと高熱のみで、手足に何もない → ヘルパンギーナの可能性が高い

ただし初期は判断しにくいことがあります。ご不安な場合は受診でご確認ください。

検査で診断できますか?

通常の診療では、症状と視診(のどや手足の確認)で診断します。ウイルスの型を特定する検査は一般クリニックでは行いません。重症例や合併症が疑われる場合には、病院での詳しい検査が必要になることがあります。

何度でもかかりますか?

はい、繰り返しかかる可能性があります。どちらの疾患も複数の型のウイルスが原因となるため、一度かかっても別の型に感染することがあります。特に手足口病は毎年流行するウイルスの型が変わることがあります。

爪がはがれてきましたが大丈夫ですか?

手足口病(特にコクサッキーA6型)の感染後、1〜2か月後に爪が変形したり一部はがれる(爪甲脱落症)ことがあります。見た目に驚きますが、多くは一時的なもので新しい爪が生えてきます。痛みがなければ様子をみて構いませんが、ご不安な場合は受診してください。

きょうだい・家族への感染を防ぐには?

完全に防ぐことは難しいですが、以下の対策が有効です。

  • こまめな手洗い(食事前・おむつ交換前後・トイレ後)
  • タオル・コップ・食器の共用を避ける
  • 水疱を触らない・つぶさない
  • おむつをしている乳幼児のおむつは密閉して捨てる

なかでも手洗いが最も効果的な予防策です。石けんでこまめに洗う習慣をつけましょう。

解熱後すぐ登園・登校させても大丈夫ですか?

法律上の出席停止規定はなく、熱が下がって本人が元気であれば登園可能です。ただし各施設のルールを確認してください。回復後も便中にウイルスが残るため、手洗いを継続してください。

施設から「医師の許可書」を求められる場合は、当院で書類を作成しますのでご相談ください。

大人がうつった場合、仕事は休む必要がありますか?

大人への感染も起こりますが、法律上の就業制限はありません。発熱・強い症状がある場合は休養をお勧めします。食品を扱う仕事・医療・介護職の方は、職場のルールに従って症状がある間は業務を控えることをお勧めします。

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塩崎正嗣 副院長
監修
塩崎 正嗣(しおざき まさつぐ)
しおざき内科 副院長 / 総合内科専門医・糖尿病専門医・肥満症専門医
東京慈恵会医科大学医学部卒業・同大学院博士課程修了。同大学附属病院にて糖尿病・内分泌・代謝内科、感染制御部、総合診療科に従事。大手航空会社常勤産業医を経て現職。感染症診療・小児科診療にも幅広く携わる。
「手足口病とヘルパンギーナは夏になると毎年多く見かける感染症です。ほとんどは自然に回復しますが、水分が取れないときや、ぐったりしているときは早めに受診してください。診断がつかなくても、不安なときはお気軽にご相談ください。」

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