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百日咳(ひゃくにちぜき)は、百日咳菌(Bordetella pertussis)という細菌による呼吸器感染症です。名前のとおり「100日間続く咳」と表現されるほど、長期にわたる激しい咳が特徴です。飛沫感染・接触感染で広がり、感染力は非常に強く、免疫のない人が感染者と接触した場合の二次感染率は70〜90%に達するとされています。
乳幼児では重症化・死亡リスクがありますが、近年は成人・10代での感染報告が増加しており、「長引く咳」として見逃されやすいことが問題となっています。2026年は特に報告数の大幅な増加が確認されており、注意が必要な感染症です。
百日咳は経過が3段階に分かれており、段階によって症状の出方が大きく異なります。特にカタル期は普通の風邪と見分けがつきにくいため、診断が遅れやすい点に注意が必要です。
鼻水・軽い咳・微熱など普通の風邪に似た症状。この時期が最も感染力が強い。咳はまだ典型的でなく、百日咳と気づかれにくい。
百日咳特有の激しい発作性の咳(スタッカート様の連続する咳込み)が出現。咳の後に「ヒュー」という笛声(レプリーゼ)が聞かれることがある。咳き込んで嘔吐することも。
咳の頻度・強度が徐々に軽減。ただし完全に消えるまでに数か月かかることもある。「百日咳」という名称の由来。
▲ 百日咳の経過と各病期の特徴タップ・クリックで拡大 百日咳は5類感染症(全数把握対象)に指定されており、医療機関から都道府県を通じて国に届け出が義務付けられています。2023年頃から全国的な増加傾向が続いており、2026年は前年同期比で大幅に報告数が増加しています。
成人の百日咳は、乳幼児のような典型的な「ヒュー」という笛声(レプリーゼ)が出ないことが多く、「長引く咳」「夜間に悪化する乾いた咳」として現れることがほとんどです。そのため、「ただの風邪が長引いている」と放置されがちです。
| 症状・特徴 | 大人・10代の百日咳の特徴 |
|---|---|
| 咳の性状 | 乾いた連続する咳込み。夜間・早朝に悪化しやすい |
| レプリーゼ(笛声) | 成人では出ないことが多い |
| 発熱 | 軽度または発熱なし |
| 経過 | 3〜8週間以上続く咳が特徴。「咳だけが残る」状態が続く |
| 乳幼児への感染リスク | 成人が感染源となって家庭内の乳幼児にうつすことが多い(コクーン感染) |
百日咳の診断は症状の特徴・経過・流行状況から総合的に判断します。検査には以下の方法があります。
| 検査方法 | 特徴 | 当院対応 |
|---|---|---|
| 臨床診断 | 2週間以上続く発作性の咳・レプリーゼ・咳後嘔吐などの典型症状から診断。検査結果を待たずに治療開始が推奨される。 | 対応可 |
| 抗体検査(血清) | 百日咳菌に対する抗体価を測定。痙咳期後半〜回復期に有用。外注検査(結果まで数日)。 | 対応可 |
| PCR検査 | 感度は高いが検体の凍結保存が必要なため当院では実施不可。 | 対応不可 |
| 培養検査 | 特殊培地が必要で結果まで数日〜1週間かかる。当院では実施不可。 | 対応不可 |
百日咳は細菌感染症であるため、抗菌薬(抗生物質)が有効です。ウイルス性感染症(インフルエンザ・コロナ・hMPVなど)とは異なり、適切な抗菌薬を用いることで感染期間の短縮・重症化予防・周囲への感染拡大防止が期待できます。
| 薬剤 | 特徴・備考 |
|---|---|
| アジスロマイシン(AZM) | 第一選択。3〜5日間の短期投与。小児・成人ともに使いやすい。 |
| クラリスロマイシン(CAM) | 第一選択の代替。7日間投与。 |
| エリスロマイシン(EM) | 従来の標準薬だが内服が長期(14日間)で副作用も多い。現在は代替薬が主流。 |
一部の薬剤耐性百日咳菌(マクロライド耐性)が確認されており、治療効果が不十分な場合は専門医への紹介も検討します。
百日咳を含むワクチンについては、日本と海外で利用可能なワクチンが異なります。
| ワクチン | 成分 | 対象 | 日本での承認 |
|---|---|---|---|
| 5種混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib) | ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・Hib | 乳幼児(定期接種) | 承認・実施中 |
| 3種混合ワクチン(DPT/DTaP) | ジフテリア・百日咳・破傷風 | 定期接種を受けていない方・追加接種希望者(自費) | 承認・自費対応 |
| Tdap(成人用) | ジフテリア・百日咳・破傷風(低用量) | 成人・10代への追加接種 | 日本未承認 |
乳幼児には5種混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib)が定期接種として設定されており、生後2か月から接種を開始します。スケジュールは以下のとおりです。
| 回数 | 接種時期の目安 |
|---|---|
| 1回目 | 生後2〜3か月 |
| 2回目 | 1回目から3〜8週間後 |
| 3回目 | 2回目から3〜8週間後 |
| 4回目(追加) | 3回目から12〜18か月後 |
定期接種の機会を逃した方や、免疫の補強を希望される方には、国内承認済みの3種混合ワクチン(DPT/DTaP:ジフテリア・百日咳・破傷風)の自費接種をお勧めします。海外で広く使われるTdap(成人用低用量)は日本未承認ですが、DPTは国内でも承認されており、費用面・安全性の両面から現実的な選択肢です。
| 内容 | |
|---|---|
| ワクチン名 | 3種混合ワクチン(DPT/DTaP) |
| 対象 | 定期接種未完了の方・接種歴不明の方・免疫補強を希望される方 |
| 費用(自費) | 8,500円(税込)/1回 |
| 接種回数 | 接種歴・免疫状況により医師が判断します(要相談) |
海外では成人・10代向けのTdap(低用量混合ワクチン)が広く使用されていますが、日本国内ではTdapはまだ承認されていません。そのため、成人が百日咳に対してワクチン予防を希望する場合は、国内承認済みの3種混合(DPT)が現実的な選択肢となります。
その他、成人が百日咳から身を守るためにできることは以下のとおりです。
百日咳は学校保健安全法に定める第二種感染症に指定されており、出席停止の基準が定められています。
| 区分 | 出席停止の基準 |
|---|---|
| 原則 | 特有の咳が消えるまでまたは適切な抗菌薬療法を5日間終了するまで(いずれか早い方) |
A. はい、対応しています。渋谷・南青山のしおざき内科では、症状・経過・流行状況から臨床診断を行い、速やかに抗菌薬治療を開始します。確定診断が必要な場合は抗体検査(外注)を用います。「インフルエンザ・コロナが陰性だったが咳が止まらない」「発作性の咳込みで夜眠れない」といった場合もお気軽にご相談ください。
A. かかります。幼少期に5種混合や3種混合(DPT)ワクチンを接種していても、時間の経過とともに免疫が低下するため、成人でも再感染が起こります。成人の百日咳は典型的な「ヒュー」という笛声が出ないことが多く、「長引く乾いた咳」として現れるため、気づかれないまま周囲へうつしてしまうことがあります。
A. 百日咳菌を除去する効果はありますが、咳症状そのものの改善には時間がかかります。特に痙咳期(咳が激しい時期)に入ってから開始した場合、咳が劇的に改善するわけではありません。ただし、周囲への感染拡大防止という観点から抗菌薬治療は重要です。カタル期(初期)の早期治療ほど、症状の改善・感染拡大防止の効果が高いとされています。
A. 成人が乳幼児の感染源となるケース(コクーン感染)が多く報告されています。対策として:①咳の症状が出たら早めに受診・治療を受ける、②マスク着用・手洗いの徹底、③乳幼児の5種混合ワクチン定期接種を遅延なく進める、の3点が重要です。成人が自費で予防接種を希望する場合は、国内承認済みの3種混合ワクチン(DPT、8,500円税込)の接種が選択肢となります。
A. 非常に感染力が強い感染症のひとつです。免疫のない人が感染者と接触した場合の二次感染率は70〜90%と報告されており、麻疹(はしか)に次ぐ高い感染力を持ちます。特にカタル期(初期の風邪症状の時期)が最も感染力が強く、まだ百日咳と診断されていない段階で広げてしまうことが多いです。
A. 日本国内ではTdap(成人用低用量)は未承認ですが、3種混合ワクチン(DPT)が国内承認済みで、自費接種(8,500円税込/1回)が可能です。定期接種を受けていない方・接種歴が不明な方・免疫の補強を希望される方にお勧めします。お子さんへの5種混合ワクチン定期接種(公費)が最も確実な予防です。
A. 発行できます。百日咳は学校保健安全法の第二種感染症に指定されており、登校・登園再開に際して学校や保育園から治癒証明書を求められることがあります。当院で診察・治療を行った場合は書類の発行に対応していますので、受診時にお申し出ください。
百日咳は「長引く咳」として見過ごされがちですが、乳幼児への感染源になりうる重要な感染症です。当院は渋谷・南青山の総合内科として、長引く咳の原因精査・百日咳の診断・治療に対応しています。「3週間以上咳が続いている」という方はお気軽にご相談ください。
*本ページの情報は2026年6月時点のものです。流行状況・診断技術・治療推奨・ワクチン承認状況は変化することがあります。最新の公的情報(JIHS・厚生労働省・日本感染症学会など)もあわせてご確認ください。
*個々の診断・治療方針については、必ず医師にご相談ください。
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