〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-7-5 青山セブンハイツビル2F
JR・東京メトロ 渋谷駅より徒歩 約5分、東京メトロ 表参道駅B2出口より徒歩 約7分
予約不要で診察しております
お電話:03-5485-3123
厚生労働省「食中毒統計」によると、近年の日本の食中毒事件数は年間900〜1,500件、患者数は年間1万〜2万人前後で推移しています。梅雨入りの6月から夏場(8月)に細菌性食中毒が、冬期にウイルス性(ノロウイルス)が増加する季節パターンが特徴です。
梅雨入り(6月)から夏(8月)にかけては気温25℃以上・湿度70%以上で細菌が増殖しやすく、食中毒事件が急増します。代表的なものを早見表でまとめます。
| 原因菌・寄生虫 | 主な原因食物 | 潜伏期 | 主な症状 |
|---|---|---|---|
| カンピロバクター | 鶏肉(特に生・加熱不十分)、生レバー、二次汚染 | 2〜7日 | 発熱・腹痛・下痢(時に血便) |
| 腸管出血性大腸菌 (O157, O111など) | 牛肉(特に生・加熱不十分)、生レバー、汚染された野菜 | 3〜8日 | 激しい腹痛・水様便→血便、HUS合併リスク |
| サルモネラ | 鶏卵(殻汚染)、鶏肉、生肉、自家製マヨネーズ | 6〜72時間 | 発熱・腹痛・下痢・嘔吐 |
| 腸炎ビブリオ | 生魚介類(刺身・寿司)、海水汚染食品 | 4〜96時間 (典型12時間) | 激しい腹痛・水様性下痢 |
| 黄色ブドウ球菌 | おにぎり・サンドイッチ・お弁当(調理者の手の傷から) | 1〜5時間 (最も早い) | 急な吐き気・嘔吐・腹痛 |
| ウェルシュ菌 | カレー・シチュー・煮込み料理(大量調理・前日調理) | 6〜18時間 | 腹痛・下痢(発熱は少ない) |
| アニサキス(寄生虫) | サバ・サンマ・イカ・サケなどの生食 | 数時間〜半日 | 突然の激しい上腹部痛・嘔吐 |
カンピロバクター食中毒
日本で最も多い細菌性食中毒。年間2,000例以上が報告されており、特に若年成人での発生が目立ちます。多くは1週間程度で自然軽快しますが、約1,000人〜数千人に1人がギラン・バレー症候群(手足の麻痺を起こす自己免疫性末梢神経障害)を発症することが知られています。
出典:CDC Campylobacter / 厚生労働省 食中毒統計
腸管出血性大腸菌(O157など)
少量の菌(10〜100個)でも発症する強い病原性を持ちます。最大の問題は合併症で、特に小児・高齢者ではHUS(溶血性尿毒症症候群)を発症し、急性腎不全・脳症で死亡することがあります(HUS発症例の致死率は1〜5%)。
⚠ 抗菌薬の使用は症状を悪化させる可能性があるため、自己判断での服用は禁忌です。
出典:CDC E. coli O157:H7 / 厚生労働省 腸管出血性大腸菌感染症Q&A
サルモネラ食中毒
1990年代以降、卵の衛生管理(殻の洗浄・冷蔵流通)の徹底で発生数は減少傾向。とはいえ、夏期の家庭内で生卵を長時間室温放置した場合や、海外旅行先の生卵料理での発生報告は続いています。乳幼児・高齢者では重症化リスクが高くなります。
出典:CDC Salmonella / 厚生労働省 食中毒統計
腸炎ビブリオ食中毒
海水温が15℃以上になると海水中で増殖し、生魚介類を介してヒトに感染します。夏期(7〜9月)に集中して発生するのが特徴。近年は冷蔵流通の徹底で発生数は減少していますが、家庭内で買ってきた魚介類を常温放置した場合などに発生します。
出典:国立健康危機管理研究機構(旧NIID)腸炎ビブリオQ&A
黄色ブドウ球菌(毒素型)
菌そのものではなく、菌が産生する「エンテロトキシン」という毒素が食中毒を起こします。重要な特徴として、加熱しても毒素は失活しません(タンパク質ですが熱安定性が高い)。手に切り傷や化膿があるときは、おにぎり・お弁当作りを避ける必要があります。
出典:CDC Staphylococcus aureus / 厚生労働省 食中毒予防情報
ウェルシュ菌食中毒(「給食病」)
大量調理した後に常温でゆっくり冷却する過程で芽胞から増殖。「給食病」「カレー食中毒」とも呼ばれます。調理後は速やかに小分けして冷却・冷蔵することが予防の鍵。再加熱は十分に(中心75℃以上1分以上)。
出典:厚生労働省 ウェルシュ菌食中毒に関するQ&A
アニサキスはサバ・サンマ・サケ・イカなどの内臓に寄生する線虫(寄生虫)です。これらの魚を生食したとき、生きたまま体内に入ると胃や腸壁に頭を突き刺し、激しい腹痛を引き起こします。近年、東京都・神奈川県を中心に報告数が増加しており、現在では「魚介類による食中毒」の中で最多となっています。
| 病型 | 症状・経過 |
|---|---|
| 急性胃アニサキス症(最多) | 生食後 2〜8時間で突然の激しい上腹部痛・嘔吐・冷汗。みぞおちの差し込むような痛みが特徴。 |
| 急性腸アニサキス症 | 生食後10時間〜数日で下腹部痛・腹膜炎症状。重症化することがある。 |
| 消化管外アニサキス症 | 稀に虫体が消化管を貫通して腹腔内に出る。 |
| アニサキスアレルギー | 抗原に対するIgE反応で蕁麻疹・アナフィラキシーを起こすことも。 |
海外旅行者の最も一般的な健康問題で、東南アジア・南アジア・アフリカ・中南米などの高リスク地域では、滞在中に20〜50%が発症します。原因の多くは腸管毒素原性大腸菌(ETEC)ですが、サルモネラ・赤痢菌・カンピロバクター・ノロウイルス・寄生虫など多岐にわたります。
| 感染症 | 主な流行地 | 原因・症状 | 予防 |
|---|---|---|---|
| A型肝炎 | 東南アジア・南アジア・アフリカ・中南米 | 汚染された水・生野菜・生もの(貝類等)。発熱・倦怠感・黄疸。 | A型肝炎ワクチンで予防可能(vaiccページ参照) |
| 腸チフス・パラチフス | インド亜大陸・東南アジア・アフリカ | 汚染された水・食品。持続する高熱・腹痛・徐脈。 | 水・食品の衛生管理。長期渡航者は腸チフスワクチン検討(日本国内未承認) |
| 細菌性赤痢 | 東南アジア・南アジア・アフリカ | 赤痢菌。少量で発症。腹痛・発熱・血便。 | 汚染水を避ける。手洗い徹底。 |
| コレラ | 南アジア・アフリカの一部 | コレラ菌。米のとぎ汁様の大量水様便。脱水で重症化。 | 清潔な水・食事。 |
| アメーバ赤痢 | 熱帯・亜熱帯地域 | 赤痢アメーバ。慢性血便。肝膿瘍合併も。 | 生水・生野菜を避ける。 |
| ジアルジア・寄生虫 | 世界各地 | 水系感染。長引く下痢・体重減少。 | 清潔な水。 |
厚生労働省・東京都は、食中毒予防の三原則として「つけない・増やさない・やっつける」を推奨しています。家庭・職場でこの3つを徹底することで、ほとんどの細菌性食中毒は予防できます。
| 原則 | 具体的な対策 |
|---|---|
| ① つけない (細菌を食品に付着させない) | 調理前・食事前・トイレ後の手洗い徹底/生肉・生魚と他の食材でまな板・包丁を分ける/調理器具を熱湯・漂白剤で消毒 |
| ② 増やさない (細菌を増殖させない) | 買ってきた食材は速やかに冷蔵(10℃以下)/調理後の食品を常温で2時間以上放置しない/お弁当は保冷剤で冷却 |
| ③ やっつける (加熱で死滅させる) | 肉・魚・卵は中心温度75℃以上で1分以上加熱/鶏肉は中まで火が通っているか確認/前日調理の煮込み料理は再加熱を十分に |
気になる質問をクリックすると回答が開きます。
A. 厳密には、食中毒は「特定の食品摂取と関連した感染・中毒症状」を指し、急性胃腸炎はより広く「感染性または非感染性の胃腸の急性炎症」を意味します。実際の診療では、症状(嘔吐・下痢・腹痛・発熱)が共通しているため、摂取食品の聴取と発症パターンから原因を推定します。同じ食事を一緒にとった人が同様の症状を呈している場合は食中毒の可能性が高くなります。
A. 細菌性食中毒では下痢止め(強い止瀉薬)は原則として避けるべきです。下痢は体内の病原体・毒素を排出する防御反応のため、強く止めると毒素が体内に留まり症状が長引いたり、HUS等の合併症リスクが上がる可能性があります。整腸薬(乳酸菌製剤・ビフィズス菌製剤など)は使用可能です。水分・電解質補給(OS-1など)が最優先です。
A. 多くの食中毒では抗菌薬は不要で、対症療法で軽快します。特にO157などの腸管出血性大腸菌では、抗菌薬使用がHUSのリスクを上げる可能性があり、自己判断での服用は禁忌です。一方、サルモネラ重症例・腸チフス・赤痢・コレラなど特定の感染症では抗菌薬が必要。原因の見立てに応じて医師が判断します。
A. 症状や経過から原因菌の特定が治療方針に影響すると判断される場合は、便培養検査(外部検査機関に委託)を実施します。結果まで通常3〜5日かかるため、軽症で経過観察で軽快しそうな場合は実施せず臨床判断で対応することが多いです。集団発生や重症例では積極的に検査を行います。
A. 渡航先・滞在期間・活動内容によります。東南アジア・南アジア・アフリカ・中南米への渡航では、A型肝炎ワクチン・B型肝炎ワクチンの接種が推奨されます。長期滞在や奥地渡航では破傷風・狂犬病・腸チフス(国内未承認)等も検討。詳細は予防接種ページまたは受診時にご相談ください。
A. 三原則「つけない・増やさない・やっつける」が基本です。具体的には:(1) 手指に傷があれば調理を避ける(黄色ブドウ球菌対策)、(2) おにぎりはラップごしに握る、(3) しっかり加熱した食材を使う、(4) 冷ましてから蓋をする(蒸気で菌が増殖)、(5) 保冷剤と保冷バッグを必ず使う、(6) 食べる時間まで4時間以上空く場合は要注意です。特に夏場は注意してください。
A. はい、含まれます。ノロウイルスは冬期(11月〜2月)に流行する代表的なウイルス性食中毒で、生牡蠣・二枚貝、感染者の手指を介した接触感染も多い感染症です。本ページは梅雨〜夏の細菌性食中毒を中心としていますが、ノロウイルスについてはご来院時にご相談ください。
食中毒と関連する、または同じ消化器症状を起こす他の感染症・予防接種のページです。
予防接種・ワクチン一覧
A型肝炎・B型肝炎・破傷風・狂犬病など渡航前ワクチンも取り扱い。
手足口病・ヘルパンギーナ
夏に流行するお子さんの感染症。発熱・喉の痛み・口内炎が主症状。
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)
「謎の風邪」2026年春の正体。長引く咳・発熱の鑑別に。
熱中症の予防・対策・点滴対応
夏場に注意したいもう一つの病気。脱水時の点滴対応も実施。
食中毒は「ただの腹下し」と軽く見られがちですが、O157やアニサキスなど重症化するものもあり、海外渡航後の場合は腸チフス・A型肝炎など見逃すと危険な感染症も含まれます。当院では渋谷・南青山の総合内科として、食事歴・渡航歴を丁寧に伺ったうえで適切な検査・治療をご提案します。「夏に体調を崩しがち」「家族で同じ症状」「海外帰りの下痢」など、お気軽にご相談ください。
*本ページの情報は2026年6月時点のものです。食中毒の発生動向・治療指針は変化することがあります。最新情報は厚生労働省・東京都健康安全研究センター・CDC・WHOなどもあわせてご確認ください。
*個々の診断・治療方針については、必ず医師にご相談ください。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | 休 |
| 午後 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 休 | 休 |
お電話での問合せはこちら
診療時間
午前診療 9:00~13:00
(12:40最終受付)
午後診療 15:00~18:00
(17:40最終受付)
△土曜日は午前のみ診療
休診日
第2・4・5土曜/日曜・祝日