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RSウイルス感染症とRSウイルスワクチン
アブリスボについて
~最新の疫学と定期接種について解説します~

しおざき内科は渋谷区の妊婦RSウイルスワクチン(アブリスボ®)接種医療機関です

渋谷区・23区内にお住まいで妊娠届を提出済みの方は、予診票をお持ちいただくことで無料で接種いただけます。電話・LINE・ネット予約でお気軽にお申し込みください。

2026年4月より、妊婦の方のRSウイルスワクチン(アブリスボ®)が定期接種(公費・無料)の対象となりました。

✅ 渋谷区・23区内に妊娠届を提出済みの方が対象です。二人目以降も対象となります。

✅ 接種により母体の抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、生まれたばかりの赤ちゃんをRSウイルスから守ります。


RSウイルス感染症とは

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、乳幼児の気道感染症の主要な原因ウイルスです。成人では軽い風邪症状にとどまることがほとんどですが、生後6か月未満の乳児では細気管支炎や肺炎に重症化しやすく、入院加療が必要になるケースもあります。

2歳までにほぼすべての乳幼児が感染を経験し、初感染時の約20〜30%で細気管支炎や肺炎が出現します。また近年は高齢者の重症肺炎の原因としても注目されており、乳幼児と高齢者の両方に対するワクチン開発が進んでいます。

・感染経路:飛沫感染・接触感染

・潜伏期間:4〜6日

・症状:発熱・鼻汁・咳・喘鳴(ゼーゼー)。重症例では呼吸困難・チアノーゼ。

・好発年齢:生後3か月未満が最もリスクが高く、生後6か月未満が特に注意が必要です。


流行状況・疫学データ
世界における疾患負担

RSウイルスは5歳未満小児の急性下気道感染症の最大の原因の一つです。

約3,300万件
5歳未満の年間RSV急性下気道感染(世界)
約6万人
5歳未満のRSV関連院内死亡(世界・年間)
約45%
死亡のうち生後6か月未満が占める割合
出典:Shi T, et al. Lancet. 2017;390(10098):946-958.
月齢別の重症化リスク

生後間もない時期ほどRSウイルス感染症による入院・重症化のリスクが高く、特に生後3か月未満は危険な時期です。

2〜4倍
生後3か月未満の入院リスク
(生後6〜12か月比)
ほぼ100%
2歳までに感染を経験する割合
20〜30%
初感染で細気管支炎・肺炎に進展する割合

生後3か月未満の時期はちょうど「母体からの抗体が消失しはじめるタイミング」と重なります。妊婦への接種により母体抗体を胎盤経由で移行させることで、この時期の感染リスクを下げることが期待されます。

出典:Hall CB, et al. N Engl J Med. 2009;360(6):588-598.
国内の流行状況と季節変化

国立感染症研究所(NIID)の感染症発生動向調査によると、RSウイルス感染症の流行パターンは近年大きく変化しています。

夏〜秋
近年のピーク時期(従来は冬季)
6〜8月
2022年以降の流行前線
(早期化が定着)

従来は「冬のウイルス」として知られていましたが、2022年以降は6〜8月に定点当たり報告数がピークに達するパターンが続いています。夏生まれの赤ちゃんは生後まもなく流行期に入ることになるため、妊娠中の早めの接種計画が重要です。

出典:国立感染症研究所 感染症発生動向調査(IDWR)週報 各年版
アブリスボ®(RSVpreF)の有効性:MATISSEトライアル(Phase 3)

アブリスボ®(RSVpreF:二価プレフュージョンFワクチン)の妊婦接種による乳児保護効果は、世界18か国・約7,400人の妊婦を対象とした大規模第3相試験(MATISSE試験)で検証されました。

57.1%
生後90日以内の重症RSV
下気道感染予防効果
51.3%
生後180日以内の重症RSV
下気道感染予防効果
34.7%
生後90日以内のRSV
関連入院予防効果

特に生後3か月以内という最も重症化リスクが高い時期に対して有効性が確認されています。母体の抗体は胎盤を通じて胎児に移行し、出生直後から乳児を守ります。

・試験規模:約7,400人の妊婦(世界18か国)

・接種時期:妊娠24〜36週

・比較対象:プラセボ(生理食塩水)との二重盲検ランダム化比較試験

・安全性:母体・乳児ともに重篤な副反応の増加は認められなかった

出典:Kampmann B, et al. Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants. N Engl J Med. 2023;388(16):1451-1464.

*上記エビデンスはすべて査読済み学術論文・公的機関データに基づいています。個々の接種適否については医師にご相談ください。


治療について

RSウイルス感染症に対する特効薬(抗ウイルス薬)は現在ありません。インフルエンザのタミフル®やコロナのパキロビッド®のような特異的治療薬はなく、治療は対症療法が中心となります。

軽症例:解熱薬・鼻汁吸引・水分補給など自宅での対症療法

重症例:入院のうえ、酸素投与・点滴・場合によっては人工呼吸管理

ハイリスク児(早産児・先天性心疾患・免疫不全など):重症化しやすく特に注意が必要

有効な治療手段がないからこそ、かかる前のワクチンによる予防が最も重要です。


RSウイルスワクチンの種類 妊婦:定期接種(無料)

当院では2種類のRSウイルスワクチンを取り扱っています。対象・目的が異なりますので、ご自身に合ったワクチンをご確認ください。

ワクチン名 対象 接種時期 費用
アブリスボ®
(RSVpreF・二価)
妊婦(妊娠24〜36週6日)
※高齢者(60歳以上)への接種も可
妊娠24〜36週 無料
渋谷区・23区内妊婦:定期接種
高齢者(自費):30,000円
アレックスビー®
(遺伝子組換え・1価+AS01Eアジュバント)
60歳以上のすべての成人
50〜59歳の高リスク成人
18〜49歳の高リスク成人
(2026年5月に18〜49歳の高リスク群へ適応拡大)
妊婦への接種不可
通年(要予約) 26,000円
全額自費

NEWアレックスビー®(GSK)が18〜49歳の高リスク成人にも適応拡大されました

2026年5月、慢性呼吸器疾患(COPD・喘息)、慢性心疾患、糖尿病、免疫不全などの基礎疾患をお持ちの18歳以上の成人がアレックスビー®接種の対象になりました。妊婦の方以外でRSV予防をご検討の方は、特集ページで詳しく解説しています。

アブリスボ®の仕組み

アブリスボ®は、RSウイルスが細胞に侵入する際に必要な「Fタンパク質(プレフュージョン型)」を抗原とした不活化ワクチンです。接種によって母体内に産生された抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、出生直後から赤ちゃんを守ります(母体免疫移行)。


公費対象・申請方法 渋谷区・23区内在住
補助対象条件

✅ 各自治体に妊娠届を提出済みの妊婦の方

✅ 渋谷区・23区内在住の方(23区外・他県の方は補助対象外)

二人目以降の妊娠中でも対象となります

✅ 妊娠24〜36週6日の間に接種

渋谷区における予診票の受け取り方
妊娠届の時期 予診票の受け取り方法
2026年3月31日までに届出済みの方 渋谷区より個別に郵送されます
2026年4月1日以降に届出の方 「母と子の保健バッグ」に同封されます
予診票を紛失・未受領の方 電子申請・電話・区役所窓口来庁で再発行可能

*予診票がない場合は全額自費(30,000円)となります。接種前に必ずご確認ください。


接種できない場合・注意事項

妊娠高血圧症候群などハイリスク妊娠の方:産科主治医の判断が必要です。接種前にかかりつけ産科医にご相談ください。

妊娠37週0日以降の方:通常は接種対象外です(補助対象外・原則自費)。やむを得ず接種する場合は医師の判断のもと実施されますが、接種後14日以内に出生した乳児への有効性は確立していないため、予定日の余裕をもって接種することを強くお勧めします。

接種推奨時期の目安:予定日の約14日以上前(分娩前に十分な抗体を移行させるため)

・産院側での管理情報との連携のため、接種後は産科担当医にもご報告ください。


副反応

アブリスボ®の主な副反応は接種部位の局所反応で、多くは数日以内に改善します。全身性の重篤な副反応は臨床試験で増加は認められませんでした。

接種部位の局所反応(10%以上)
接種部位の痛み43.8%
全身症状(10%以上)
頭痛約30%
筋肉痛約20%
倦怠感約18%
その他(10%未満)

接種部位の発赤・腫脹、嘔気・嘔吐、38℃以上の発熱など。いずれも一過性で重篤化した報告は少ないです。

⚠ 接種後に高熱・強い腹痛・胎動の減少など通常と異なる症状を感じた場合は、速やかに産科担当医または当院にご連絡ください。


予約方法

予診票をお手元にご用意のうえ、電話・LINE・ネット予約でお申し込みください。

・LINE・ネット予約は4営業日先から予約可能です。

・急ぎの場合はお電話またはLINEにてご相談ください。最速で翌営業日の接種が可能です。

・接種当日は予診票・マイナ保険証(または資格確認書)・母子手帳をお持ちください。

予約方法の詳細はこちら →

関連RSウイルスにそっくりな「hMPV(ヒトメタニューモウイルス)」も流行しています

hMPVはRSVと同じパラミクソウイルス科の「兄弟分」で、発熱・咳・喘鳴など症状はほぼ同じ。PCR検査なしには臨床的に区別できません。2026年春には福岡を中心とした「謎の風邪」の主役にもなりました。hMPVと複数呼吸器ウイルスの同時流行・診断・治療の解説はこちら。

【記事監修】

副院長 塩崎正嗣

副院長

塩崎 正嗣

東京慈恵会医科大学医学部卒・同大学院博士課程修了

東京慈恵会医科大学附属病院(感染制御部・総合診療科)、大手航空会社常勤産業医などを経て現職。感染症治療・予防医学・小児科診療に意欲的に関わる。2児の父。

RSウイルスは「よくある風邪のウイルス」に見えますが、生後3か月未満の赤ちゃんにとっては重篤な肺炎を起こしうる危険なウイルスです。妊娠中にワクチンを接種することで、生まれてくる赤ちゃんに抗体を届けることができます。赤ちゃんを守る手段として、ぜひ接種をご検討ください。

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