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RSウイルス感染症とRSウイルスワクチン
アレックスビーについて
~最新の疫学と適応拡大について解説~

アレックスビー®(Arexvy) ~ 2026年、18〜49歳の高リスク成人へ適応拡大 ~

Last update 2026.5.28
NEW2026年5月、厚生労働省はGSKのRSVワクチン「アレックスビー®(Arexvy)」について、18〜49歳のリスクグループ(基礎疾患を有する成人・免疫低下者を含む)を対象とする適応拡大を承認しました。
これにより、アレックスビー®は「18歳以上の高リスク成人」全体をカバーする日本初のRSVワクチンとなりました。これまで対象外だった若年〜中年の慢性疾患をお持ちの方も、自費接種が可能になります。
しおざき内科は、アレックスビー®(GSK)の自費接種に対応する医療機関です。
慢性呼吸器疾患(COPD・喘息)、慢性心疾患、糖尿病、免疫不全、慢性腎臓病などをお持ちの18〜49歳の方も、今回の適応拡大により接種いただけるようになりました。RSウイルスによる重症肺炎の予防をご検討の方は、お電話・LINE・ネット予約からご相談ください。

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1.適応拡大の経緯 ─ 18歳以上の高リスク成人へ

アレックスビー®(Arexvy)とは

アレックスビー®はGSK社が開発した遺伝子組換えRSウイルスワクチン(RSVPreF3 OA)です。RSウイルスが細胞に侵入する際の鍵となる「Fタンパク質(プレフュージョン型)」を抗原とし、AS01Eアジュバントと組み合わせることで強力な免疫応答を誘導します(※mRNAワクチンではありません)。日本では2024年1月に60歳以上を対象に発売されました。

適応年齢の拡大の歩み

時期承認・適応
2024年1月日本で発売開始。60歳以上のすべての成人が対象。
2025年50〜59歳のリスクグループ(基礎疾患を有する成人)に適応拡大。
2026年5月18〜49歳のリスクグループ(基礎疾患・免疫低下者を含む)に適応拡大。これにより18歳以上の高リスク成人全体をカバーする日本初のRSVワクチンに。
出典:GSK公式プレスリリース 2026 / 厚生労働省 医薬品医療機器総合機構(PMDA)承認情報

2.成人RSVの重症化リスク

RSウイルスは「乳幼児の感染症」というイメージが強い一方、成人でも慢性疾患をお持ちの方や免疫が低下した方では重症肺炎・入院・死亡のリスクが高いことが、近年の疫学研究で明らかになっています。インフルエンザと並ぶ「成人の重症呼吸器感染症」として認識が広まりつつあります。

約177,000人米国における成人RSV
年間入院数(推定)
約14,000人米国における成人RSV
年間関連死亡(推定)
2〜10倍基礎疾患のある成人の
RSV入院リスク(健常者比)
出典:Falsey AR, et al. N Engl J Med. 2005;352(17):1749-1759 / CDC RSV in Older Adults

RSV感染が特に問題となる成人

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD):RSV感染で急性増悪を起こしやすく、入院・呼吸不全のリスクが高い。
  • 気管支喘息:成人喘息でもRSVは重要な増悪因子。コントロール不良の方は注意。
  • 慢性心疾患(心不全・冠動脈疾患):呼吸器感染をきっかけに心不全増悪が起こりやすい。
  • 糖尿病(特にコントロール不良・腎症など合併症あり):感染症全般の重症化リスクが高い。
  • 免疫不全:HIV感染、臓器移植後、化学療法中、生物学的製剤・免疫抑制剤使用中など。
  • 慢性腎臓病・透析中の方:感染症で容易に全身状態が悪化。

3.対象者・高リスクの定義

年齢別の整理

年齢対象備考
60歳以上すべての方が接種可能2024年からの当初適応。リスクの有無を問わず接種推奨。
50〜59歳基礎疾患のある方2025年に適応拡大。下記の高リスク条件に該当する方。
18〜49歳基礎疾患のある方
免疫低下者
2026年5月に新たに適応拡大。下記の高リスク条件に該当する方。
18歳未満適応外小児への接種は承認されていません。

「高リスク」に該当する具体的な条件

以下のいずれかに該当する18〜59歳の方が接種対象となります(医師の問診で適応を確認します)。

カテゴリー具体例
慢性呼吸器疾患COPD、気管支喘息(特に中等症以上)、間質性肺疾患、気管支拡張症など
慢性心血管疾患慢性心不全、冠動脈疾患、弁膜症など(高血圧単独は通常含まれない)
代謝性疾患合併症のある糖尿病、高度肥満(BMI ≧ 40)
慢性腎臓病・肝臓病透析中、慢性腎不全、肝硬変など
免疫不全状態HIV感染、固形臓器・造血幹細胞移植後、化学療法中、生物学的製剤・免疫抑制剤使用中、ステロイド長期内服など
血液疾患鎌状赤血球症、白血病・リンパ腫の治療中など
神経・神経筋疾患気道分泌物のクリアランスに影響する疾患(脳卒中後遺症、神経筋疾患など)
長期療養施設入居者集団生活で感染リスクが高い方
参考:米国CDC ACIP recommendations / GSK Arexvy 添付文書
⚠ 適応の最終判断は医師の問診により決定します
「自分は高リスクに該当するか分からない」という方も、まずはご相談ください。お持ちの疾患・服薬内容・治療歴を伺ったうえで、接種の適応を判断します。

妊娠中の方はアブリスボ®(公費・無料)の対象です

妊娠24〜36週の方は、別のRSVワクチン「アブリスボ®」が定期接種(渋谷区・23区在住で公費・無料)の対象です。詳しくはRSウイルスワクチン(妊婦・アブリスボ®)のページをご覧ください。


4.エビデンス・有効性

AReSVi-006試験(60歳以上の発症予防)

60歳以上の成人約25,000人を対象とした第3相試験。重症RSV感染症に対する高い予防効果が示されました。

82.6%RSV関連下気道疾患
(LRTD)予防効果
94.6%基礎疾患を有する方の
重症LRTD予防効果
複数シーズン2シーズン以上にわたる
持続的な予防効果が確認
出典:Papi A, et al. N Engl J Med. 2023;388(7):595-608 / Ison MG, et al. Clin Infect Dis. 2024

18〜49歳・50〜59歳の高リスク群への拡大根拠

18〜49歳および50〜59歳の高リスク成人への適応拡大は、これらの年齢層を対象とした免疫原性試験(immunobridging study)の結果に基づいています。60歳以上で確認された有効性に劣らない抗体応答が認められたことから、同等の予防効果が期待できると判断されました。

免疫学的応答だけでなく、安全性プロファイルも60歳以上と同等であることが確認されています。

出典:GSK Arexvy 添付文書(2026年改訂版)/ AReSVi-018 試験

5.副反応・安全性

アレックスビー®はアジュバント(AS01E)を含むワクチンで、しっかりとした免疫応答が得られる一方、接種後数日間の局所反応・全身反応がやや出やすい傾向があります。多くは数日以内に自然軽快します。

主な副反応(頻度10%以上)

副反応頻度備考
接種部位の痛み約60%最も多い。1〜2日で軽快。
倦怠感約34%接種翌日にピーク、2〜3日で改善。
筋肉痛約29%同上。
頭痛約27%軽度〜中等度が中心。
関節痛約18%一過性。
発熱(38℃以上)約2%頻度は低い。アセトアミノフェンで対応可。
出典:Papi A, et al. NEJM. 2023 / GSK Arexvy 添付文書
⚠ 接種後の注意
発熱・倦怠感などが出ることがあるため、接種翌日に重要な予定がある方は接種日を調整することをお勧めします。インフルエンザワクチンや他のワクチンとの同時接種も可能ですが、副反応が重なって出る可能性があります。詳しくは接種前にご相談ください。

接種を控えるべき方・要注意の方

  • 過去にアレックスビー®成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方(接種不可)
  • 重度の急性疾患で発熱中の方(軽快後に接種)
  • 過去の予防接種でギラン・バレー症候群を発症したことがある方(医師と要相談)
  • 抗凝固薬服用中の方(接種は可能ですが、止血の確認に時間を要します)

6.予約・接種費用

接種費用(全額自費)

項目費用(税込)備考
アレックスビー®(Arexvy)26,000円1回接種。現在のところ追加接種は推奨されていません。

*費用は予告なく変更することがあります。最新の価格は受付・電話でご確認ください。
*現時点で公費補助の対象ではありません。

入荷状況

当院では常備在庫は持っておりませんが、事前のご予約をいただければ卸より入荷可能です(通常1〜数営業日で入荷)。
流行・供給状況によってお時間をいただく場合があります。お早めにお申し込みください。

接種までの流れ

  1. お電話・LINE・ネット予約でご相談ください。基礎疾患の内容を簡単にお伺いします。
  2. ワクチンを取り寄せ、接種日をご案内します。
  3. 接種当日:本人確認書類(マイナ保険証など)、お薬手帳をお持ちください。
  4. 診察・問診のうえ接種。接種後は15〜30分院内で経過観察していただきます。

予約方法

  • 電話:03-5485-3123(診療時間内)
  • ネット予約は4営業日先からの予約受付となります。お急ぎの方はお電話または公式LINEにてご相談ください。
  • 詳しい予約方法は ワクチン予約ページ →

よくある質問

Q. 自分が「高リスク」に該当するか分かりません

A. 上記カテゴリーのいずれかに該当する可能性がある方は、まずはお電話・LINE・受診時にご相談ください。お持ちの疾患・治療歴・服薬内容をうかがったうえで、医師が接種適応を判断します。判断に迷う場合は、かかりつけ専門医にもご相談されることをお勧めします。

Q. インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンと同時に接種できますか?

A. 原則として同時接種は可能です。ただし、複数のワクチン副反応が重なって出る可能性があるため、副反応に余裕のあるスケジュールでの接種をお勧めします。接種間隔について不安な方は事前にご相談ください。

Q. 何年おきに接種するべきですか?

A. 現時点では1回の接種で複数シーズンにわたる予防効果が確認されており、追加接種(ブースター)は推奨されていません。長期的な予防効果や追加接種の必要性については、今後の臨床試験データを踏まえてアップデートされる予定です。

Q. アレックスビー®とアブリスボ®はどう違いますか?

A. どちらもRSウイルスに対するワクチンですが、対象者・仕組み・公費制度が異なります。

項目アレックスビー®(GSK)アブリスボ®(Pfizer)
種類 遺伝子組換えタンパク質ワクチン
+AS01Eアジュバント
遺伝子組換えタンパク質ワクチン
(アジュバントなし)
対象 ・60歳以上の成人
・18〜59歳の高リスク成人
(妊婦への接種は不可)
・妊娠24〜36週の妊婦
60歳以上の成人
主な目的 本人のRSV重症化予防(強い免疫応答) 妊婦:母体抗体の胎児移行で乳児を保護
高齢者:本人のRSV重症化予防
公費 全額自費(26,000円) 妊婦は渋谷区・23区在住で公費(無料)
高齢者への接種は自費(30,000円)

妊娠中の方はアブリスボ®のページをご覧ください。60歳以上の方はどちらのワクチンも接種可能で、ご希望・既往歴に応じて選択いただけます。判断に迷う場合は受診時にご相談ください。

Q. 妊娠中ですが接種できますか?

A. アレックスビー®は妊娠中の方への接種は推奨されていません(アジュバント入りワクチンであるため、安全性データが十分でない)。妊娠中の方は、定期接種対象のアブリスボ®(公費・無料)をご検討ください。

Q. 副反応が強く出ないか心配です

A. アレックスビー®はアジュバント入りのため、接種翌日に倦怠感・筋肉痛・頭痛が出やすい傾向があります。多くは24〜72時間で自然軽快します。発熱が高い場合はアセトアミノフェン(カロナール®など)の頓服で対応可能です。重要な予定がある日の前日は避けて接種することをお勧めします。


副院長 塩崎正嗣
【記事監修】副院長
塩崎 正嗣
東京慈恵会医科大学医学部卒・同大学院博士課程修了
東京慈恵会医科大学附属病院(感染制御部・総合診療科)、大手航空会社常勤産業医などを経て現職。感染症治療・予防医学に意欲的に関わる。2児の父。

RSウイルスは「子どもの病気」と思われがちですが、慢性疾患をお持ちの成人にとってはインフルエンザに匹敵する重症呼吸器感染症の原因となります。今回のアレックスビー®の適応拡大により、18〜49歳の慢性疾患をお持ちの方にも予防の選択肢が広がりました。「自分はRSVのリスクが高いのか分からない」という方も、まずはご相談ください。お持ちの疾患・治療内容を伺ったうえで、必要性をご一緒に判断します。

*本ページの情報は2026年5月時点のものです。承認情報・適応・接種推奨は変化することがあります。最新の公的情報(PMDA・厚生労働省・GSK添付文書)もあわせてご確認ください。
*個々の接種適否・治療方針については、必ず医師にご相談ください。

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