1肺炎球菌とは/なぜワクチンが必要か

肺炎球菌は、肺炎・気管支炎・菌血症・髄膜炎などを引き起こす細菌です。65歳以上の高齢者や、糖尿病・心疾患・慢性呼吸器疾患などの基礎疾患がある方では重症化しやすく、場合によっては命に関わります。

9割超
肺炎による死亡者の
65歳以上の割合
10〜20%
侵襲性肺炎球菌感染症
(IPD)の致命率
大幅減
ワクチン接種で
感染症・入院・死亡

厚生労働省 人口動態統計 / CDC・ACIP 2025・MMWR 2025

肺炎は「年をとればかかるもの」ではなく、ワクチンで予防できる病気です。特に65歳前後が最初の接種の目安ですが、50歳以上・基礎疾患のある方も早めの接種を推奨します。

2当院で取り扱う4種類のワクチン

現在、当院では4種類の肺炎球菌ワクチンを取り扱っています。それぞれの特徴は以下の通りです。

ワクチン名種類血清型数国内IPD
カバー率
追加接種費用(税込)
プレベナー20®
(PCV20)
結合型20種類約69%原則不要8,000円
渋谷区65歳初回:無料
ニューモバックス®
(PPSV23)
多糖体型23種類約68%5年後に再接種推奨8,000円
2026年度末で終売予定
バクニュバンス®
(PCV15)
結合型15種類約55%1年後にニューモバックス追加推奨10,000円
キャップバックス®
(PCV21)
結合型21種類約79%原則不要13,000円

国内IPDカバー率:2013〜2022年の日本国内侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)1,740例のデータに基づく推計(日本呼吸器学会 WG報告 2025)。費用は2026年4月時点。

3ワクチン選択の考え方

以前は「プレベナー13 → ニューモバックス®」という2回接種(逐次接種)が標準でした。しかし新世代の結合型ワクチン(PCV20・PCV21)の登場により、接種方法は大きく変わっています。

プレベナー20®(PCV20)— 2026年度定期接種・第一選択

20種類の血清型を1回でカバーし、従来の「PCV13+PPSV23」に近い、または同等以上の抗体反応を示しています。国内データでは65歳以上のIPDに対し約69%のカバー率が確認されており、2026年度より渋谷区の定期接種ワクチンに指定されています。スケジュール簡略化・費用対効果の面でも有利です。

キャップバックス®(PCV21)— 国内IPDカバー率が最も高い選択肢

2025年8月に国内承認された最新の21価結合型ワクチンです。日本国内のIPD菌株データ(2013〜2022年)では約79%のカバー率を示しており、PCV20(69%)・PPSV23(68%)を上回ります。日本呼吸器学会のガイドラインでもPCV20・PCV21・PCV15-PPSV23は同等の推奨クラスとして位置づけられています。

PCV15(バクニュバンス®)+ニューモバックス® 逐次接種

PCV15で免疫記憶を形成した後、1年以上あけてニューモバックス®(PPSV23)を追加することで血清型カバーを補完する戦略です。免疫抑制状態・脾摘後・人工内耳の方などでは現在も合理的な選択肢とされています。

当院の基本方針

初回接種にはプレベナー20®(定期接種)を推奨します。より広い国内IPDカバーをご希望の場合はキャップバックス®(自費)もご相談ください。免疫状態・基礎疾患・接種歴によって最適な方法は異なりますので、個別に判断します。

4どれを接種すればよいか — ケース別の目安

接種歴によって推奨される内容が異なります。以下を目安にしてください。

これから初めて接種する方

プレベナー20®を1回接種するだけで完結です。渋谷区65歳の方は定期接種(無料)の対象です。50〜64歳の方や65歳以上で過去に未接種の方も任意接種(自費)で受けられます。

以前にニューモバックス®だけ接種したことがある方

1年以上あけてプレベナー20®の追加を検討します。ニューモバックスは多糖体型ワクチンのため免疫記憶が形成されにくく、プレベナー20を追加することで免疫の質・範囲が補完されます。

以前にプレベナー13®だけ接種したことがある方

1年以上あけてプレベナー20®の追加を検討します。プレベナー13でカバーされていなかった7種類の血清型が追加でカバーされます。

プレベナー13+ニューモバックスの両方を接種済みの方

5年以上あけてプレベナー20®の追加を検討できます(医師と相談の上)。逐次接種完了後でも、プレベナー20の追加で血清型カバーの拡大が期待できます。

免疫抑制状態・脾臓摘出後・人工内耳の方

バクニュバンス®(PCV15)+ニューモバックス®(PPSV23)の逐次接種を選択する場合があります。高リスク群では、PCV15による強い免疫記憶形成と、PPSV23による血清型カバー拡大を組み合わせる逐次接種戦略が合理的とされています。接種間隔は通常1年後(免疫不全の場合は最短4週間に短縮可能)。必ず医師にご相談ください。

*接種間隔は海外ガイドライン(CDC/ACIP)を参考にしています。国内ガイドラインも基本的に同方向での整理が進んでいます。

5副反応について

肺炎球菌ワクチンの副反応は通常軽微で、数日以内に改善します。

*接種後、15〜30分は院内で様子を観察します。気になる症状があればお申し出ください。

肺炎球菌ワクチンの接種について、お気軽にご相談ください

6アクセス・診療時間

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