手足口病とヘルパンギーナは、いずれもエンテロウイルス属のウイルスが原因で、乳幼児を中心に保育園・幼稚園で集団感染が起こりやすい夏の感染症です。8月後半から9月にかけて急速に減少し、冬はほとんど見られなくなります。
例年どおり6月から患者報告数が増加しています。保育園・幼稚園でのお子さまの発熱・口の中の痛みが気になる場合はお早めにご相談ください。流行のピークは例年6〜7月で、お盆明けごろから落ち着く傾向があります。
✅ 当院では小児科診療も行っており、予約不要でご受診いただけます(予約優先制)。
✅ 症状に迷う場合や、受診すべきか判断できない場合は電話・LINEでご相談ください。
1手足口病とヘルパンギーナ ― 症状・経過の比較
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| 🖐 手足口病 | 🌡️ ヘルパンギーナ | |
|---|---|---|
| 主な原因ウイルス | コクサッキーA16・A6 エンテロウイルス71(EV71) | コクサッキーA群(2・4・6・8型など) |
| 流行時期 | 6月〜8月 6〜7月にピーク。8月後半から減少。 | 6月〜8月 6月に最初のピーク。手足口病より早めに始まることも。 |
| 主な年齢 | 乳幼児〜5歳(大人にも感染あり) | 乳幼児〜5歳(大人にも感染あり) |
| 発熱 | 37〜38°C台が多い(低め) | 38〜40°C台の高熱が多い |
| 口の中の症状 | 舌・頬の内側・のどに水疱・潰瘍 | のどの奥(軟口蓋・口蓋弓)のみに水疱・潰瘍 |
| 手足の発疹 | 手のひら・足の裏・指に水疱状の発疹 お尻・膝に出ることも | なし(手足には出ない) |
| 経過 | 7〜10日程度で回復 | 3〜7日程度で回復(やや短い) |
| 特有の合併症 | 爪の変化(爪甲脱落) EV71では脳炎・髄膜炎(まれ) | 高熱による熱性けいれん |
迷ったときの目安:手と足にも発疹が出ていれば手足口病、のどだけで手足には何もなければヘルパンギーナの可能性が高いです。ただし、初期は区別しにくいことがあります。
2手足口病について
症状と経過
感染から3〜6日の潜伏期間ののち、発熱(軽度のことが多い)と口の中の水疱・潰瘍が現れます。1〜2日後に手のひら・足の裏・指に水疱状の発疹が出るのが特徴です。お尻や膝に出ることもあります。口の中の潰瘍は痛みを伴うため、食事・水分をとりにくくなることがあります。発疹は通常かゆみはなく、7〜10日程度で自然に回復します。
原因ウイルスによる違い
コクサッキーA16型(最多)
比較的軽症。発疹・水疱が小さくまとまることが多い。
コクサッキーA6型
発疹が広範囲・大型になりやすく、水疱が破れて広がることがある。回復後1〜2か月で爪が変形・脱落する(爪甲脱落症)ことがある(一時的で自然回復する)。
エンテロウイルス71型(EV71)
まれにウイルス性髄膜炎・脳炎などの重症合併症を引き起こすことがある。強い頭痛・嘔吐・ぐったりには注意が必要。
感染経路
- 接触感染:水疱の液・唾液・便(便中には数週間ウイルスが残ることがある)
- 飛沫感染:咳・くしゃみ
おむつをしている乳幼児については、おむつ交換後の手洗いが重要です。
3ヘルパンギーナについて
症状と経過
感染から2〜4日の潜伏期間ののち、突然の高熱(38〜40°C)で発症します。のどの奥(軟口蓋・口蓋弓)に小さな水疱が現れ、破れて潰瘍になります。のどの痛みが強く、食事・水分が取りにくくなることが特徴です。手足や体幹には発疹は出ません。高熱は1〜3日で下がり、3〜7日程度で回復することが多いです。
ヘルパンギーナは高熱が急激に上がることが多く、乳幼児では熱性けいれんを起こすことがあります。けいれんが5分以上続く場合は救急へご連絡ください。
感染経路
飛沫感染・接触感染・糞口感染(手足口病と同様)。同じエンテロウイルス属ですが、型が異なるため、手足口病にかかったことがあっても、ヘルパンギーナには別途感染することがあります。
4受診の目安
どちらの感染症も特効薬はなく、多くは自然回復します。ただし、以下の症状があるときは早めにご受診ください。
- けいれんが起きた・止まらない(5分以上)
- ぐったりして反応が鈍い
- 首が硬い・強い頭痛・嘔吐が繰り返される(髄膜炎の疑い)
- 呼吸が速い・苦しそう
- 意識がおかしい・呼びかけに応じない
- 水分・食事がほとんど取れない(脱水が心配)
- 3日以上高熱が続く
- 症状が悪化している・改善しない
- 診断が不明確(手足口病かヘルパンギーナか判断しにくい)
- 保護者・家族の不安が強い
*当院は小児科診療を行っています。ご不安な場合はお気軽にご来院またはLINE・電話でご相談ください。
5治療と自宅での過ごし方
手足口病・ヘルパンギーナともにウイルスに対する特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心です。
発熱への対応
- つらそうであればアセトアミノフェン(カロナール等)で解熱を。
- イブプロフェン(ブルフェン等)も使用可能ですが、まず医師にご相談ください。
- 38°C以上でも元気があれば、解熱剤は必ずしも必要ありません。
食事・水分補給(最重要)
- 口の中の痛みで食欲が落ちやすいため、水分補給を優先します。
- 冷たくて刺激の少ないもの(アイスクリーム・ゼリー・冷たい麦茶・スポーツ飲料)が食べやすいことが多いです。
- 酸っぱいもの・辛いもの・しょっぱいもの・炭酸は口の中を刺激するため避けてください。
- 尿量が減る・口が乾く・ぐったりするなど脱水のサインに注意してください。
入浴・生活
- 熱がなく元気であれば入浴可能です。シャワーでも構いません。
- 手洗い・タオルの共用を避けることで家庭内感染を防ぎます。
- おむつ交換の前後は必ず手を洗ってください。
6登園・登校の目安
手足口病・ヘルパンギーナはいずれも学校保健安全法の「第3種感染症」に分類されており、法律上の出席停止期間の定めはありません。
✅ 登園可の目安
- 熱が下がっている
- 食事・水分が普段どおりに取れる
- 本人が元気で、集団生活に支障がない
⏸ 登園を控える目安
- 発熱がある
- 口の痛みで食事・水分が十分取れない
- 水疱が破れて広範囲ににじみ出ている
⚠️ 保育園・幼稚園の独自ルールを必ず確認
法律上の規定はありませんが、多くの施設では独自の登園基準を設けています。施設に事前確認のうえ、必要であれば受診した旨の説明書をご準備ください。当院でも必要に応じて書類を作成します。
*回復後も便中にウイルスが数週間排泄されることがあります。症状消失後もトイレ後・おむつ交換後の手洗いを徹底してください。
7大人(保護者・家族)の感染について
手足口病・ヘルパンギーナは乳幼児に多い疾患ですが、大人にも感染します。大人が感染した場合、子供より症状が強く出ることがあり、特に以下に注意が必要です。
- 強い口内炎・のどの痛み:食事・飲水が困難になることがあります。
- 手足の強い痛み・水疱:手足口病では痛みが強く、日常業務に支障が出ることもあります。
- 発熱・倦怠感:子供よりつらく感じることがあります。
免疫がある程度あるため、感染しても無症状のことも多いですが、感染源になりうるため手洗いを徹底してください。子供の看護をする際は、使い捨て手袋の使用をお勧めする場合があります。